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美術による学び研究会 趣旨
近年、アメリカやイギリスの教育界ではeducationという言葉が影を潜め、
learningという言葉が多用されてきています。
これは学校教育の場に限ったことではなく、
美術館など社会教育の場でも同様の現象だといわれています。
同様にわが国でも、「学びの○○○」や「○○○な学び」のように、
学び(learning)を視点とした教育論や授業改革が広まってきています。
教育(education)という言葉にまとわりついた
「教師→学習者」という一方通行的な、知識伝授のイメージを払拭し、
教育を学習者の視点から捉え直し再構築するという意味で、
学び(learning)という言葉が流通しているのでしょう。
学習者間の相互作用や共同性、体験や身体性からの育ち、
一人ひとりの学びかたや個々に達成されたことなどを重視する学びという視点は、
美術の教育においてこそ必要不可欠であると考えます。
たとえば、相互性や共同性の具体的な表れである対話やしぐさに着目した授業分析、
個々と集団における意味生成を充実させる鑑賞や表現のあり方、
一人ひとりの育ちや変容の具体的な探究などが、
学びという視点からの研究の焦点といえるでしょう。
1953年に翻訳刊行されたハーバート・リードの『美術(芸術)による教育』
(“EDUCATION THROUGH ART”)は一つの時代を画しました。
それから55年間、わが国の美術教育界では
その時の世相や社会の動向に敏感に応じながら様々な研究がなされてきました。
それらに敬意を払いつつ、いま私たちはこの名著になぞらえ、
「美術による学び」(LEARNING THROUGH ART)について
研究することを提唱します。
2008年2月23日 上野行一
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