top of page

​日本・美術による学び学会

 

 

 

日本・美術による学び学会 設立趣旨

 美術による学び研究会が発足して今年は10年の節目に当たります。

発足の趣旨にあるように、教育活動を学習者の学びの視点から捉え直す営みは

学校教育の場に限ったことではなく、美術館などの社会教育や企業の社員教育などビジネスの場でも

同様の動向だといわれています。

 教育(education)という言葉にまとわりついた「教師から学習者へ」という一方通行的な、

知識伝授のイメージを払拭し、教育を学習者の視点から捉え直し再構築するという意味で、

学び(learning)という言葉が流通しているのでしょう。

 学習者間の相互作用や共同性、体験や身体性からの育ち、

一人ひとりの学びかたや個々に達成されたことなどを重視する学びという視点は、

鑑賞も制作表現も創造的な行為と捉える美術の教育においてこそ必要不可欠であると考えます。

 近年、創造力や感性の開発という視点から美術(芸術)の教育効果に注目が集まっています。

創造力や感性は固有の知識のように教えられるものではありません。

それはAIが得意とする学びではなく、まことに人間らしい学びであると言えるでしょう。

 AIに代表される科学テクノロジーの進化する社会がどのような社会になるのかは、

そして、人間の生活や生きがい(quality of life)はどうなるのかは、誰も予測できません。

 しかし芸術は時代を先読みします。

    フィリップ・K・ディックが『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』で

AI(レプリカント)の存在を鏡にして、

人間の存在を問いかけたのは1968年(映画化は1982年、2017年)のことでした。

 カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した理由は

「世界とつながっているというわたしたちの幻想的な感覚にひそむ深淵

(the abyss beneath our illusory sense of connection with the world)」を表現したことでした。

『わたしを離さないで(Never Let Me Go)2005年(映画化は2010年)』のあの寂寥感、喪失感は

まさに人間性の喪失だったのです。

 AIやクローンを対称軸の向こうに設定し、人間の存在意義を問う両作品は映画化され、

すぐれた映像アート作品として多くの人々にそのことを訴えかけています。

文学と映像のマルチメディアで表現された両作品が高い評価を得ている理由は共通しているのです。

 誰も予測できないとはいえ、21世紀は人間の存在が問われる時代であることは間違いありません。

美術による学びが人々の創造性や感性を高め、

人間性を回復してくれる寄す処(よすが)になるでしょうか。

 美術は人間の本能的で普遍的で、人間存在の基本的な行為です。

美術による学びは美術の専門家だけが考えるものではないのです。

    美術や文化を通しての思考と対話に関わる教育学、美術、倫理学、哲学、心理学、社会学などの

幅広い分野からの人々が集い、幼児から大人の、現在から将来の

美術による学びのあり方を議論できる場となることを目指して

私たちは「日本・美術による学び学会」を設立いたします 。

 

                                                    (2018年11月11日制定)

                     

起草者 上野行一(美術による学び研究会 代表)

 

 

​​ 発起人代表

学会発起人.png

「日本・美術による学び学会」規約

 

第一条(名称)   本学会は「日本・美術による学び学会」Japan Society for Learning through Art (JSLA)と称します。

第二条(目的)   本学会は、美術による学びに関わる実践を対象として、その実践研究および実践に向けた学術研究の発展を目指します。

第三条(活動)   本学会はこの目的を達成するために次の事業を行います。

          一、学会誌『美術による学び』の編集、発行

          二、美術による学びに関わる実践、発表、シンポジウムの開催、学術調査等

          三、総会の開催等その他必要な事業          

第四条(位置付け)   本学会は美術による学び研究会(以下、学び研)を母体とし、その研究事業の一つとして位置付けます。

第五条(会員)   本学会は第四条に定めるとおり、学び研の事業の一つであるため、学び研会員はすべて本学会の会員となります。

          学び研の会員資格のない人は本学会の会員資格を得ることができません。

第六条(委員)   本学会の目的を実現するための執行機関を「実行委員会」と称します。実行委員は事務局、編集局、会計で構成されます。

          一、事務局は、会員及び関連組織との連絡、総会運営、Webサイト管理等を行います。

          二、編集局は、学会誌の編集、発行を行います。

          三、会計は収支報告書を作成し学び研に報告します。

          実行委員の任期は2年とし重任をさまたげません。委員は総会において選出します。

第七条(総会)   本学会は年に一回総会を開き、本学会の重要事項について審議し、その結果を美術による学び研究会に報告します。

          総会は原則としてメール会議とします。

第八条(予算)   本学会では年会費の徴収は行いません。本学会は学び研の事業であるため、その運営に関わる経費は学び研が支払し、

          益金は戻入されます。

第九条(寄付)     本学会は会員や企業から自主的な運営協力費を集めることができます。

第十条(改訂)     本規約は実行委員会の発議により、総会の承認を得て改訂することができます。

(2018年11月11日制定)

(2020年12月13日改訂)

 

 

 

 

日本・美術による学び学会事務局の所在地

〒069-8511  北海道江別市文京台23番地

 北翔大学教育文化学部教育学科

日本・美術による学び学会 事務局代表 山崎正明

 

 

 

 

bottom of page